元旦
まさかバングラデッシュで、正月念仏会をやることになるなんて夢にも思わなかった。
朝から老若男女が、タオサンガセンターに正月参りに来られたので、僕は、念仏に先立って、ラジョーさんの通訳のもとに、少しお話しをさせてもらった。
「念仏では、勧請(かんじょう)といって、仏さまや菩薩さまに道場に来て頂きます。
そして、宇宙大霊である阿弥陀さまの光明を宇宙一切にふり向けて(回向)頂くのです。
昨夜の念仏で僕は、土地の神さま方も大変喜んで下さっているように感じました。
皆さんも、ご先祖や家族、またすべての生きとし生けるものに、阿弥陀佛の光明がふり向けられるようにお祈りしながら、念仏して下さいね」
<まゆさんも、正月のあいさつ>
皆さんで1時間ほど念仏や読経した後は、朝食の接待をする。お茶とココナッツをまぶしたもち米、ラカイン焼きそば、などだ。
街の長老らしき人が、“日本仏教が入ったのは、ラカインの歴史上はじめてのことですよ”と感慨深げに言う。
しかし日本仏教というよりも、明治時代に超宗派の念仏を説いた弁栄上人の教えが、そもそも世界で共有できるほどの普遍性を持つ世界仏教だったのだ。
だから僕は、「今日やったお念仏は、北米やヨーロッパなど各地でやっているんですよ。仏教は、普遍的なものだから、みんなでやったら良いですよね」なんて妙な答え方をしてしまった。
<朝食の接待>
時間が来たので、パソコンを立ち上げる。PCのテレビ電話(スカイプ)でつなげるためだ。
年越し念仏をやっている世界各地のタオサンガセンターが、Happy New Year! を同時に交わし合うのは、毎年恒例だ。
つないでみると、おお! バングラデッシュの通信状況はまだ弱いけど、カナダと東京の声は聞こえるではないか!
オーストリアや京都もつながっているみたいなんだけど、こちらの声は聞こえない。
モンテリオールのセンターの映像が見えたので、カナダ・タオサンガのみんなと挨拶を交わす。
向こうはまだ大晦日の夜で、これから念仏らしい。
バングラデッシュのセンターに来ているお年寄りに、“カナダで念仏する人たちですよ”と説明してヘッドフォンを渡す。
映像を見て、ちょっと話してびっくりしている。いやー、僕も最初は、驚きましたよ、そりゃ。
こういう時は、文明バンザイである。
<女医さんの創った女性のためのセンター>
元旦でも、滞在時間が限られているわれわれは、のんびりしているわけにはいかない。バングラデッシュ自体が、特に正月気分という感じでもないし。
午後は、女医さんの造った女性のためのシェルターを見に行き、さらに仏舎利塔に行って、その後の相談。
夕方は、ラジョーさんの奥さんにもセンターの事務を手伝ってもらうためのミーティングをする。実は彼女は、短大で英語もコンピューターも学んでいたのだ。
<階段の修復はすっかり完了している>
<いつ行ってもおじさんは、喜々として仕事をしている>
<仏舎利塔からの眺め>
<初めて奥さんを入れてミーティング>
<何をやっているのかというと、蚊帳をつっているところ。寒いくせに一丁前に蚊がいて、眠れないことがあるのだ>
<蚊帳が完成すると、一安心である>
夕食後は、屋上で3人で新年会の乾杯! 頼みのつなは、バンコクの空港の免税店で買って来たウィスキーと、まゆさんが日本から持って来た柿の種である。(彼女は柿の種を持って来るのは忘れない)
でも、それで十分じゃないか。天体望遠鏡のお陰で、月は感動ものだし、、、。続く