クルスクル村の学校でも同じように活動した。子どもたちと会い、聞き取り調査をし、先生たちとミーティングを行うのだ。
しかしミーティングをしていても、ラカインの人たちは慎み深いというか遠慮しいである。こちらから要望を聞いても、なかなか返事をしてもらえない。
僕は強く訴えなければならなかった。「僕たちの目的は同じです。それは、ラカインの子どもたちの将来のためです。そのために、お互いここミーティングしているんです。だから遠慮していないで、ちゃんと要望を出して下さい」
その結果、ようやく以下のようなものが出された。
1)親が助かるし、アイデンティティー形成にも良いので、学校の制服が欲しい。
2)独立記念日に運動会をやるので、賞品を買いたい。
3)卒業生だが、家が貧しいために上の学校の学費に苦慮している。サポートをして上げたいが、何とかならないか?
僕らは以下のように答えた。
1)制服については、予算を組みすので、見積もりをお願いします。
2)運動会の賞品は、ラジョーさんと一緒に買い物にいって下さい。
3)その子の写真、プロフィール等の詳細なデータを下さい。ラジョーさんが面接した上で、NPOユニが支援してくれる里親を探します。
その後、ラジョーさんが定期的にチャリティックスと念仏を教えに来ることなどや、今後のいろいろなことについても話し合った。
<教室で、日本から持って来た“はちみつキャンディ”を配る>
<おみやげを喜ぶ子ども>
<うあ、おいしい!>
<いろんな年齢の子が通っている>
<実は校長もチャリティックス大好き!>
次にチョコロンギー村を回った。クルスクル村から、さらに河を越えて行ったところだ。昨年は、ボートで渡った。でも、今年になってようやく橋が完成。思ったより短い時間で着いた。
ここは昨年、ラカイン仏教福祉協会の長老たちにサポートを要請され、調査に訪れていたところだ。
そのとき、村の主だった人たちが集まり、かなり具体的な話までした。しかしその後、進展がないままだった。僕は今年こそ、実現に向けて動きたいと思っていた。
<この村には、河を越えて行く>
昨年、僕らは村のリーダーたちに、村の孤児たちのリストを集めることを依頼していた。今年行ってみると、それらのリストはすでにできていた。17人の孤児(片親のいない子も含む)がいるという。
学校として使う建物の候補を見に行く。でも、うーん、ちょっと狭いなあ。という感じだった。その場でずい分議論した。しかし、最適な学校候補地についての結論は出なかった。(後日、仏教福祉協会を通してお寺と交渉。その結果、お寺に併設された建物を学校として使うことになった)
村でのミーティングのとき、村のリーダーの言葉が僕の心をついた。
「10年以上前まで、ワールド・ビジョンという団体の援助で、学校を開けていたこともあった。でも期限が来て打ち切られてしまったんだ。ワールドビジョンって、キリスト教の団体だろ。でもNPOユニは仏教の団体だ。ユニがラカインの仏舎利塔を修復してくれたことは、村のみんなも知っている。仏教の団体からの援助なら、たとえ1円だってオレたちは嬉しいんだ」
チョコロンギー村。新しいラカイン・ユニ小学校の開校だ。
<とことん話し合う>
<最初の話し合いで出た候補地>
<これではちょっと、狭いですねー>
<仏教の支援団体が来てくれたのは初めて、と語る村長>
<孤児の1人。この子も里親が現れるのを待っている>
よい里親が見つかりますように。