議長まで引き受けてしまったが(フォーラム前夜のできごと)

<フォーラム2日目には、ダライ・ラマ法王との謁見があった>

 

ところでフォーラムが始まる前夜、

各セッションに分かれたグループ・ミーティングがあった。

 

僕が司会を担当するのは第六セッション。

2日目の午後の最後だ。

 

というわけでテーブルには、僕を含めて6人が座った。

 

インドネシアの上座仏教の僧侶、ダンマブッドー、

タイの僧侶パティポールと通訳のダルニー女史、

チベット僧のタブケ、

韓国のタオホン。

 

本当はそれぞれVenerableだの、Geshe  だの、

何だかエラい尊称がついている。

 

さてどうしよう……。

 

何せ僕は司会役(主催者からは議長と言われた)である。

 

事務局長のペクさん(マレーシアの華僑)からは、

議長がミーティングの進行もして下さいね、

といわれているのだ。

 

とりあえずは、場を盛り上げよう。

そう思った僕は、一人一人に質問し始めた。

 

実は2日ほど前から、

各自の経歴やスピーチの概要を読み込んでいた。

 

本当は、もっとずっと前から、

経歴、概要、スピーチ全文を送って欲しい、

と何度も頼んでいた。

 

何せセッションリーダーである議長は、

(単なる「司会」と言い張りたい所だが)

各自のスピーチが終わった後、

コメントを入れて会場のディスカッションを

促さなくてはならない。(、、、と言われている)

 

もし、彼らのスピーチ内容が

サンスクリット語だのパーリ語を駆使していて、

何言っているんだかまるで分からなかったら、

壇上で立ち往生してしまう。

 

だから、あらかじめスピーチの内容を知ろうと、

僕は必死だった。

 

(名前からSNSをサーチして

メッセージを送っていたぐらいである)

 

しかし実際に、

スピーチの概要または、プロフィール、

または全文が手に入ったのは、

何と現地に入ってからだった。

(経歴がわからない人もいた、

概要がない人も、全文がない人もいた)

 

とにかく手に入った情報だけを読み込んだ。

 

僕が議長を務める第6セッションは、

「仏教と現代のテクノロジー」というような感じのテーマである。

 

経歴は皆、すごい。

 

 

 

 

 

インド在住チベット人のタブケは、

10歳で僧侶になり、

アメリカの大学で何年か物理学を学んでいた。

 

 

 

 

 

韓国のタオホンは、元韓国軍の従軍僧侶。アメリカ留学で博士号。

 

 

 

 

 

 

 

インドネシアのダンマブッドーは、

様々な学歴や役職が、何と2ページに亘って掲載されている。

(職安に提出した学歴・職歴みたいな感じではあるが)

 

 

 

 

 

 

 

タイのパティポールは、スピーチ全文があるものの、

プロフィールとしては、寺の名前ぐらいしか書いていない。

 

それで僕は、手に入った情報を元に、

それぞれの人に、どんなスピーチ内容かについて、質問を始めた。

 

そこでなぜか、あたかも

場を仕切るように身を乗り出して来たのが、

チベット僧のGesheタブケである。

 

(彼は、いくつかの試験でランク1を取って、

非常に高いレベルにあることを示すGesheの称号を持っている)

 

すると、話し始めた人は、全員に顔を向けて話すのでなく、

タブケだけに向かって話す感じになってしまった。

 

困ったなどうしよう…..と思って、気で抑えたり、

「皆に顔向けて話して」などと促すのだが、

タブケの気と身体の位置(身を乗り出している)に負けて、

結局、話すのは、タブケだけに向かって、となる。

 

業を煮やした僕は「こいつの我を抑えねば…,,」と思い、

ついに本人に直接、「オレが議長なんだから、

あんたは引っ込んでいてくれ」と言って、

タブケに、身体を後に戻すようにと促した。

 

もしかしたら反発するかと思った。

 

そうなったら面倒だ。

 

しかし、こっちも使命があるから

引き下がるわけにはいかない。

 

しかし、タブケは「そうだった。

議長のあんたがボスだった」と言って

素直に、あっさりと引き下がった。

 

場にはいい空気が漂った。

 

そして、それをきっかけに、

場全体が和やかになった。

 

そして、タブケと僕は仲良しになった。

 

日本のサンガではたまにややこしくなることがあるが、

この点、世界のサンガは、僕も楽に呼吸することができた。

 

また、僕がそれぞれの情報を詳しく読み込んで勉強して来たことが、

僕が皆の情報のコピーに書き込んでいる様々なメモを見て、

皆、驚いたようだった。

 

そして僕が、いかに相互理解を元に

第6セッションをまとめようとしているかの努力が

皆に伝わったのかも知れない。

 

僕が皆に言ったのは、

「悪いけど僕は地位も肩書きも関心ないので、

個人的なストーリーを中心に、

どんなことスピーチするのかを聞かせて欲しい」だった。

 

経歴言って終わりの紹介が多いだろうから、

通常の逆をやったのである。

 

そして、まず僕から、

それぞれの人を、皆に紹介するようにした。

(調べて来た範囲内で)

 

そして、足りないところを聞き出していった。

 

さらに、各自の話に対して、

讃嘆を惜しまないコメントを加えていった。

 

そして、場全体が楽しく盛り上がるようにした。

(まあ、いつもやっていることだけどね)

 

さて、ダンマブッドーからは、

イスラム教国インドネシアで仏教を伝えることの

様々な苦労話を聞いた。

 

何と彼は、毎日、1時間半の法話を配信している、という。

 

「どうして坊さんになったの?」と聞いたら、

コンサルト会社を経営していて、

1時間 $150稼いでいたけど、

心の平和が欲しかった、と語った。

 

タイのパティポールは、何とボードゲームを発明し

ゲームで仏教を広める活動をチームでしている。

 

臨床心理も学び、仏教カウンセリングを行っている。

 

(後で「これ僕が発明したんだよ」と言って、

NINJA HOPEを見せたら、

彼のチームメイトもエキサイトしていた)

 

韓国のタオホンは、何と15歳で中学をやめて、

チベット仏教を学びにダラムサラに行き、

4年間、僧院にいたという。

(その後、アメリカに留学した)

 

現在は韓国で、メタバースやVRなどを使って

仏教を広めようとしている。

 

その上、何と仏教マンガ作家として、

Instagramに、作品を投稿しているのだ。

(アカウントは、sim_buddha である。皆さん、フォローよろしく!)

 

間脳の研究までしていたタブケは、

物理学や科学の観点から、仏教を広めようとしている。

 

(僕はあらかじめ、間脳の機能まで調べた。

 

共通の話題が大事なので ^ ^)

 

まあ、そんな風にみんなの話を聞き出して、

メモしながら場をまとめていった。

 

一通り終わったら、

「ところで議長、あんたのスピーチ内容は?」と

みんなが興味シンシンの表情である。

 

そこで、”まあ簡単に言うと「心がどう身体を変えるか。

仏教の修行がどう身体に影響するのか」を皆に、

その場で見せるんだよ”と言った。

 

そして、実際にダンマブッドーやタブケ相手にやって見せた。

 

すると、皆が驚き、興奮して、

タブケは「その場で見せる時の実験台にオレなるから!」と言い、

さらに「オレたちはチームだから!」と言ってくれた。

 

第6セッションのテーブルの場には、

明るさや子どものような喜びで盛り上がっていた。

 

”フォーラム、何とかなりそう”と思って、

僕も明るい気持ちになった。

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