ナチスの末裔、ガンジーのひ孫、そして希望の火

前回述べたように、

「平和活動を行うナチスの末裔探し」は難航した。

 

しかし、これまで幾多の“不可能”を“可能”にしてきた

我らが司令官アリスは、ついにその人物を探し出した。

 

それが、ジェニファー・ティーゲさんである。

 

彼女はアフリカ系ドイツ人として生まれ、

幼い頃に里子として育てられた。

 

30歳のとき、自らの出自に疑問を抱き、

2年をかけて調査を行い、驚くべき事実にたどり着く。

 

――祖父がナチス親衛隊将校、アーモン・ゲートであったということである。

 

彼女が卒業したのは、イスラエルのテルアビブ大学であり、

友人たちは皆ユダヤ人であった。

 

その中で自身の血筋と向き合う苦悩は、

想像を絶するものであったに違いない。

 

その葛藤を経て執筆された『祖父はアーモン・ゲート』(原書房)は、

ニューヨーク・タイムズでベストセラーとなり、

国際的な注目を集めた。

 

一方、ガンジーのひ孫との出会いは

偶然の産物であった。

 

かつて、我々NPO「アースキャラバン」では、

どのような困難の中でも希望を捨てず、

世界を変えようと行動する人々にインタビューを行い、

ビデオシリーズとして発信していた時期があった。

 

ロバート・ケネディJr氏をはじめ、

多くの人物にインタビューを行ったものの、

諸事情により公開できなかった映像も少なくない。

 

取材に応じてくれた方々への申し訳なさは、

今なお胸に残っている。

 

それでも、数本のインタビュー映像を

世に出すことができたのは、幸運であった。

 

その中で、**アロン・ガンジー氏(マハトマ・ガンジーの孫)

へのインタビューは幸運にも完成・公開された作品の1つである。

 

この機会を得ることができたのも、

アリスの尽力によるものである。

 

私自身もその現場に立ち会ったが、

特筆すべきは、インタビュー終了間際にアリスが取り付けた

「約束」である。

 

それは――ニューデリーで常灯されているガンジーの炎と、

希望の火を融合させるセレモニーであった。

 

だが、ここで予想外の壁が立ちはだかる。

 「ガンジーの炎」は、ガンジー家の自由にはならないのである。

 

こうして、インドの行政当局との粘り強い交渉が始まった。

 

これは、ケネディ家の場合もまったく同様であった。

 

アメリカ・アーリントン墓地には、ジョン・F・ケネディの火が

常灯されている。

 

我々は、元メリーランド州副知事のキャサリン・ケネディ氏に

インタビューを行った際、希望の火との融合セレモニーを提案した。

 

彼女は快諾してくれたが――

翌朝、現地に赴いた際、

墓地を管理する米軍に知られてしまい、

実行は阻止されてしまったという一件があった。

 

話を戻そう。

ニューデリーでの融合セレモニーには、

本来アロン・ガンジー氏が立ち会う予定であったが、

体調を崩し入院となったため、

代わりに参加してくれたのが息子のトーシャ・ガンジー氏であった。

 

この出来事、そして希望の火とガンジー家との結びつきについて、

私は昨年、世界連邦仏教徒協議会の機関誌に寄稿した。

 

ユーモアを交えつつ記した記事である。

 

リンクを探して後日、投稿するようにするので興味があれば、またご覧ください。

 

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