アースキャラバン準備・テーマ曲篇
あとで振り返ると、「一体、どうしてこんなことができたんだろう?」と思うようなことが、アースキャラバンの準備中によく起こった。
例えば、テーマ曲のCD。
テーマソングがあった方が良いだろう、ということになった。
それで、誰に歌ってもらおうか? と考えていた。そしたら何となく、世界各地の音楽家たちに歌ってもらおう、という話になった。
当てなど全くない。
しかも基本、手弁当やってもらおう、という考え。
にもかかわらず、1、2ヶ月の内にやっちゃおう、と安易に考えてからが、まあ大変。
曲そのものは、以前からできていたが、歌詞は、昨年夏にパレスチナで、イスラエル軍の爆撃で足を失った少年を前にした時の体験をもとに書いた。(話はライナーノートになっている。興味のある方は→ http://www.earthcaravan.jp/share_lnotes.html )
中東での準備から帰って来て9月も中旬を過ぎてから、CD作成の準備を始めた。
まずはサンプルを作ろうということで、スタジオでレコーディングした。あとはもう死に物狂いだった。
何せCD作成が終わらないことには、広島で動けないのだ。
中東のイベント準備も、手がかりがまったくないところから始めたが、その時点では広島でイベントやる可能性などないに等しかった。
アースキャラバンに、「広島からエルサレムまで」という副題をつけてはみたものの、最初はどちらも当てなどなかったのだ。
無謀といえば無謀だが、それはテーマ曲のCDを創るというプロジェクトだって、まったく同じだったのだ。
振り返ってみれば、18か国の音源が集まっていく過程の1つ1つには、物語があった。
カミーロとの出会い
例えば、台湾、、、。
<カナダ在住のカミーロは台湾出身>
2年と少し前、トロントのタオサンガ・センターのオープニングで出かけたことがあった。
セレモニーの合間に控え室で休んでいた時だ。突然、部屋を尋ねて来た人がいた。
モンテリオール在住で台湾出身のカミーロという人だった。
タオ指圧を学び、センターで念仏修行もしているようだったが、僕は会うのは初めてだった。
カミーロは青黒く深刻な顔で、「悩んでいることがあります。」と話し始めた。悲痛な声だった。
、、、「数年前にモンテリオールの漢方医に”あなたの耳の形では長生きできない。あと数年前だろう”と言われたのです、、、。
その時は、聞き飛ばしたのですが、最近、夜眠れないようになり、何だか体調も悪くなって来ました。」さらに話は続いた。
「やがて僕は、彼の言う通り自分が死ぬのではないかと思い始めました。今は毎日、心身ともに苦しくて苦しくて仕方がありません。僕は一体どうなってしまったのでしょう? 彼の言う通りの状態になって来てしまいました。僕は死ぬんでしょうか。」と訴え始めた。
僕は、いろいろと話を聞いた上で、自分の直感に耳を澄ました。
、、、やがて僕の直感は、彼が死なないことを告げた。
しかし万が一、ということもある。
実は僕も、自分が口を開く前に一瞬考えた。その人の言ったことが万が一本当なら、どうしよう?、と。
最悪の場合のことだって、考えておかなくてはならない。
僕には覚悟を決めておく必要があった。
僕は腹を決めた。もし彼が本格的に病気になった時は、僕はモンテリオールに行こう。そして彼が治るまで彼の家に泊まり込んで、ずっと治療しよう。最悪の場合だって、僕は責任を持とう、と。
その上で彼に伝えた。「あなたは死なない。病気にもならない。僕が絶対の保証をする。」、と。
すると彼は、泣き出した。「ありがとう、ありがとう、ありがとう、、、」、と。嗚咽する彼の背中を僕はずっとさすっていた。
カミーロはしばらくすると、「すっかり気持ちが楽になりました」と微笑んだ。そして、部屋を後にした。
その後、「夜も眠れるようになり、すっかり体調も良くなりました」とメールをくれた。
、、、1年後、そのカミーロに僕は相談した。アースキャラバンのテーマ曲を歌ってくれる台湾のミュージシャンを知らないか、と。
そしていろんなやり取りのあげく、彼の子どもの頃の同級生に、グロリアという中学校の音楽の先生がいること。
またそこの合唱部は、コンクールに優勝するような子供達であることなどがわかった。
<左がグロリア、右が台湾在住のともこさん>
さらに、ちょうどその頃、タオサンガのまさとさん&まひろさんカップルが台湾に行くことにもなっていた。
それで、カミーロには歌詞を英語から中国語に翻訳してもらい(もともと歌詞は英語で作っていた)、急遽、そこの子供達に歌ってもらうのを、まさとさんたちに録音してもらうことになった。
台湾には、それに合わせてカミーロも行くことになった。
僕は、彼のその心意気に応じななかったら、かっこ悪いな、と思った。
それで僕も台湾に行くことになったのである。飛行機を予約したのは、前々日だった。
台湾では、後ですっごくお世話になることになる、ともこさんと出会ったりなど、いろいろ素晴らしいことがあった。
しかし台湾のホテルでも、僕は何時間パソコンの前で過ごしていたかわからない。それは、ただひたすらいろんな国へ、テーマ曲の録音と録画依頼のやり取りをしていたのである。、、、
延々と朝早くから、深夜も尚。何時間も何時間も続いた。(そして何日も何日も)
歌ってくれた台湾の子供達の動画。
http://www.earthcaravan.jp/share01.html
<続きは、「アースキャラバンのテーマ曲に、いかにワンダのバージョンが入ったか?」>
追記:.SHARE! のアルバムは、ほとんどがプロのミュージシャンたちの手によって本格的にレコーディングしたもの。
台湾など、そうでないところもあったが、それはそれでとても素朴な良さがあった。最終的には誰に対しても、自信を持ってお勧めすることができる、クオリティーの高いCD作品になったと思う。
興味のある方はこちらだが、映像は素人の方が歌っているもの。プロが演奏しているのはCDの方なので、ご注意を!
↓
http://www.earthcaravan.jp/share_cd.html