他者の苦しみに対して無関心な人と、他者の幸せに責任を持たない人

テルアビブに着いたのが26日。すでに翌日からイスラエル側でのスケジュールは全部埋まっていた。

タオサンガ・イスラエルとのメンバーミーティングがあるのはもちろんだったし、1日中行われる(って、自分がやるんだけど)2日間のタオ指圧・念仏ワークショップも予定されていた。

それらは良いけど、東洋医学の国際会議をテルアビブで開く人との話し合いとか、合気道道場で行うワークショップ(なんでまた僕が?)の準備ミーティングなどもあった。

僕としては、イスラエル・タオサンガに良いことなら、何でもやることにしていた。ただ、自分が一体何をやっているんだか、正直、訳がわからなくなることがある。

というのは、イスラエル側にいると、“あのさ、そんなことどうでも良いから、イスラエル政府にパレスチナ占領やめさせる活動一緒にしない?”という言葉が喉まで出かけるのである。(実際、言いかけて、言い合いになりそうな雰囲気になったこともあった)

イスラエル・タオサンガのリーダーであるマガリは、今や、ばりばりの活動家になった(僕の影響らしいけど<笑>)。だから、そのようなストレスはない。だけど一般イスラエル人にそれは期待できない。(もしそうだったら、とっくにパレスチナ占領は終わっている)

「言いたいことを抑えて付き合う」という、この微妙な空気感。これは僕みたいに開けっぴろげな人間には、なかなかのストレスなのである。

26日には、カナダからボブも到着した。僕はずっと以前、彼に”一緒にパレスチナに行ってデモに参加しようよ。催涙弾撃たれるけどさ”なんて、冗談混じりに言ったことがある。

その頃の彼は、”パレスチナに行くのは怖い”と真剣に怯えていた。”パレスチナ占領反対のデモに参加する”なんて言ったら、親戚中にキチガイ扱いされるよ。” とも言っていた。ボブも含めて親戚は全員ユダヤ人である。

ようするに、北米のユダヤ人協会に対しても、一般イスラエル人たちのような洗脳はちゃんと行き届いているのである。そのボブが今回は参加し、今や”イスラエル政府のやっていることは許せない。占領反対だ!”とまで言い出しているのである。

何という変わりようであろうか! もっともボブ、パレスチナに入って最初の頃はちょっと怯えていて、僕はからかいながら肩を抱いて歩いてあげていたりしていて面白かった。(途中から、“パレスチナにいる時の方が楽だ〜”とか言い出したけど)

テルアビブの空港に着いた時、ボブはユダヤ人なのに、2時間も拘束され、尋問を受けたそうだ。(ユダヤ人では通常あり得ない)僕らですら最近の空港入国はすっかり楽になっていたのに、、、。

<一番右がボブ/ 今や、すっかりパレスチナに溶け込んでしまった>

さて、僕らのガザ入域について、イスラエル軍からマガリにメールが入った。それで再び軍が要求する内容を書いて返信した。このとき、僕は、ドアが開いた!と思った。

その翌日から、テルアビブで2日間の「タオ指圧・念仏ワークショップ」を勤めた。参加者は30人で、ウエイティングの人もいたそうだ。参加者から「講義でお聞きした、”この世界の不幸は、他者の苦しみに対して無関心な人と、他者の幸せに責任を持たない人が作っている。この世界を不幸なままにしないためにも、他者の苦しみに共感し、自他の幸せに責任を持とう”という言葉に強い感銘を受けました」というメールをもらった。

そこでまた、「そんなことよりパレスチナ占領の問題は?」が、喉元まで出かかる僕であった。

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